ブルーカーボン生態系

  

ブルーカーボンとは?

WORLD LOVE&PEACEブルーカーボンとは、海藻や海草などの海洋生態系によって吸収・貯留される炭素の総称です
WORLD LOVE&PEACE陸上の森林が吸収する炭素を「グリーンカーボン」と呼ぶのに対し、海の生態系が担う炭素吸収を「ブルーカーボン」と呼びます
WORLD LOVE&PEACE近年、気候変動対策の一つとして注目を集めていますが、実はさまざまな課題を抱えています。

最大の問題

炭素の行方が追跡できない

海藻が吸収した炭素が

その後どうなるのか、

正確な追跡が極めて困難

海藻は成長過程で二酸化炭素吸収を吸収しますが、やがて枯死したり、波や潮流によって流出したりします。その後の炭素の行方は、大きく3つに分かれます

Problem.01

第一に、深海への沈降です。枯れた海藻が深海まで沈めば、炭素は長期間貯留されます。しかし、深海での動態を測定することは技術的に非常に難しく、どれだけの量が実際に沈降しているのか正確にはわかっていません。

Problem.02

第二に、分解による二酸化炭素放出です。海中や海面付近で微生物に分解されると、吸収したはずの炭素は再び二酸化炭素として放出されます。この場合、気候変動対策としての効果はゼロになります。

 

Problem.03

第三に、海岸への漂着です。流れ着いた海藻は一部が腐敗して二酸化炭素を放出し、残りは堆積物となります。

驚くべきことに、流出した

海藻の50-90%の行方は

不明とされています

現在もつまり、私たちは海藻が

本当にどれだけ炭素を貯留しているのか

正確には把握できていない

科学的・技術的な課題

ブルーカーボンには、測定や評価に関する複数の課題があります。
陸上の森林と異なり、海中の藻場は衛星画像だけでは確認しにくく、潜水調査にも限界があります。
面積がわからなければ、吸収量の算定にも大きな誤差が生じます。

1.
現状

永続性の問題も深刻です。森林の樹木が数十年から数百年生き続けるのに対し、海藻の多くは数ヶ月から数年で枯死します。気候変動対策として意味があるのは、炭素を長期間にわたって貯留することですが、海藻ではその保証が困難です。

2.
現状

変動性の大きさも課題です。台風の直撃や海水温の上昇によって、藻場が一夜にして壊滅することがあります。そのため、年間の吸収量が安定せず、計画的な気候変動対策として組み込みにくいという問題があります。

3.
現状

流出問題は特に重要です。海藻の90%以上が流出または分解されるという研究もあり、見かけ上の吸収量と実質的な貯留量には大きな乖離がある可能性があります。

4.
現状

土地利用の競合という社会的課題もあります。藻場を再生・保全しようとしても、沿岸開発や港湾整備との間で利害が対立することがあり、実際に藻場を拡大することは容易ではありません。

過大評価への注意

ブルーカーボンについては、「森林の5-10倍の効率で二酸化炭素を吸収する」という説明をよく目にします。しかし、この数字を鵜呑みにすることは危険です。
この「5-10倍」という数字は、あくまで単位面積あたりの炭素貯留速度を比較したものです。
実際には、いくつかの重要な点を考慮する必要があります。

1.総面積の問題

第一に、総面積の問題があります。日本の森林面積は約2,500万ヘクタールに及びますが、藻場の面積はその数百分の一程度に過ぎません。効率が良くても、規模が小さければ総量は限られます。

2.永続性の問題

第二に、永続性の問題があります。森林に貯留された炭素は、森林が維持される限り長期間保持されます。一方、海藻に貯留された炭素が長期的に保持される保証はありません。

 

3.測定方法の問題

第三に、測定方法の問題があります。ブルーカーボンの測定方法はまだ国際的に確立されておらず、研究によって推定値に大きな幅があります。

 

4.現実的な評価

これらを踏まえた現実的な評価として、日本全体のブルーカーボンによる年間吸収量は約35-130万トン二酸化炭素と推定されています。これは日本の年間総排出量(約10億トン以上)の0.3-1%程度に過ぎません。ブルーカーボンは気候変動対策の一つの手段にはなり得ますが、過度な期待は禁物であり、あくまで補助的な対策として位置づけるべきでしょう。

ブルーカーボン生態系は、

気候変動対策として

可能性を秘めている一方で、

炭素の行方の不明確さ、

測定の困難さ、永続性の不確実性など、

多くの課題を抱えています。

特に日本で主力となる海藻については、

吸収した炭素が本当に

長期貯留されるのか、

科学的な検証が十分ではありません。

ブルーカーボンへの取り組みを

進めること自体は

意義がありますが、その効果を

過大に見積もることなく、

他の排出削減策と組み合わせて総合的に

対策を進めていくことが重要です

WORLD LOVE&PEACE